便秘解消を目的とした薬や飲み物の副作用について
便秘になると口臭や肌荒れだけでなく、お腹の張りや痛みから吐き気を伴うなど、具合が悪くなる場合もあり、早く解消したいと悩む方も多いです。
その対処法として、即効性のある薬や飲み物などを使って便秘を解消しようとする場合に気をつけたい副作用についてご紹介します。
自分の健康をしっかり守るためにも、ぜひ事前に学んでおきましょう。
1.副作用が起こるかもしれない成分と起こる副作用
便秘が解消できたとしても、体にそれ以上の問題が起こってしまうようであれば意味がありません。副作用が起こるかもしれない成分や、実際に起こってしまう可能性のある副作用についてご紹介していきます。
■便秘薬
・刺激性便秘薬センナ: 吐き気、腹痛、めまい、尿の色が変わる
刺激性便秘薬の場合は、無理やり腸のぜん動運動を起こさせる働きがあります。直腸性便秘などで出口が硬い便で詰まっている場合などは出口が詰まっているのに押し出す働きが止まらないため、非常に痛みを伴うケースがあります。
また、その痛みがあまりにひどい場合、吐き気を催し、めまいなどを起こして立てなくなるなど大きな副作用症状が出るケースも多いです。
さらに刺激性便秘薬を常用すると効かなくなってくるため、用法をオーバーした薬を飲む人も多いです。腸に用法を超えて飲んだ薬で刺激を与え続けた場合、大腸メラノーシスという、腸が真っ黒になる症状が表れます。
腸が長期間の強烈な刺激により、痛めつけられている状態ですので正常な働きができなくなり、以前よりもひどい便秘症になってしまいます。
・浸透性便秘薬マグネシウム: 高マグネシウム血症
腎臓の機能低下がある場合、あるいは高齢者の場合などに高マグネシウム血症を発症することがあります。むくみやだるさ、血圧低下などが症状として表れます。
・膨張性便秘薬プランタゴ・オバタ種子:膨満感による吐き気など
膨張性便秘薬はその名の通り腸の中で膨らみ、かさを増やすことでぜん動運動を活発にし、便を排出させるという働きを持っています。便が長期間腸内に滞在してしまうと水分が抜けて固い便になってしまうため、出口付近で詰まる直腸性便秘のような状態になるケースが多いです。
いくら腸内で膨らんでぜん動運動が盛んになったとしても、直腸性便秘の場合だと出口が詰まっているので出るべき出口がなく、膨満感、吐き気などの原因になります。
■飲み物
飲み物では即効性があるとうたっている便秘茶に注意しましょう。センナ茶などの便秘茶は刺激性便秘薬に使われているものも多いです。成分表示などをよく見て確認しましょう。
また、いくら効果的と言われている飲み物でも過剰摂取に気をつけましょう。例えばカフェインの多く含まれる飲み物の過剰摂取は自律神経失調、睡眠障害などになる場合があります。便秘を治そうとして他の病気を引き起こさないよう注意しましょう。
カフェインは緑茶、コーヒー、マテ茶などに含まれています。他の飲み物も過剰摂取は必要のない副作用を引き起こしてしまう可能性も高いので注意が必要です。
2.こんな人は特に副作用に気をつけた方がいい!
■肝臓や腎臓などが弱っている方
肝臓や腎臓機能が低下している場合は通常よりも副作用の可能性が高くなります。飲む前に医師に相談しましょう。
■妊婦さん
妊婦さんは、副作用がお腹の赤ちゃんに影響してしまう可能性があるので、独自判断で便秘薬を飲むのを控えたほうがいいです。便秘があまりにも辛い場合は、医師に対処法を相談して提案してもらうことをおすすめします。
3.結局何をどうやって選べばいいの?
便秘には以下の3種類があり、そのタイプ別に使うべき便秘薬も変わってきます。
当てはまらない便秘薬を使うと副作用が起こりやすくなりますので注意しましょう。
■痙攣性便秘:ストレスを感じている場合、腹痛になりやすい、下痢も起こすなど
■弛緩性便秘:少食、ダイエット中、うさぎのような便が出る、女性や高齢者の場合など
■直腸性便秘:腸は動いているがいきんでも出てこない、残っている感覚がある場合など
■痙攣性便秘の人
痙攣性便秘の場合は大腸が過敏になっている状態なので、ストレスを軽減することが1番の治療となります。
痙攣性便秘の方が刺激性便秘薬などを使うと大腸のぜん動運動が過剰に行われ、吐き気などの副作用を引き起こす原因になります。
便秘と下痢を繰り返す形は過敏性大腸症候群と言い、ストレスにより大腸のぜん動運動が過敏になったり、鈍感になったりを繰り返している状態です。
腸が過敏になるとぜん動運動が早く行われ、便が水分を含んだ状態で出てしまい下痢となります。鈍感の場合は便秘になり、固い便になります。
便が固くなって出てこない場合は、寝る前にカモミールなどのハーブティーを飲み、ストレスを緩和してみることをおすすめします。
それでもでなければマグネシウム系の浸透性便秘薬で便をやわらかくしてから、腸内環境を改善する食生活などを行いましょう。
■弛緩性便秘の人
弛緩性便秘の場合はぜん動運動ができていない状態であるため、ぜん動運動を促す刺激性便秘薬、少食の方・ダイエット中の方であれば膨張性便秘薬がおすすめです。
あるいはかさを増やしてくれる豆類・ごぼう・ライ麦パン・きのこなど不溶性の食物繊維を食べるようにすると改善が見込めます。
■直腸性便秘の人
直腸性便秘の場合は直腸に送るところまで腸が正常に動いているのですが、便意を感じにくくなっているため、直腸で便がストップしている状態です。かなり長い期間経っているので便をやわらかくしようと水分を飲んでも時間がかかりますし、刺激性便秘薬でも膨張性便秘薬でも出口が詰まっている状態を解消しなければ便秘解消はありえないので浸透性便秘薬を使ってやわらかくして出すようにしましょう。
このときに食物繊維がたくさん入った食べ物を食べると便秘を悪化させてしまうため、水分を多くとる、ご飯などの水分を含んだ物を食べるなどが効果的です。
このようにタイプ別の便秘原因と対処法を知っておくことが大切です。
4.まとめ
今回は便秘解消を目的とした薬や飲み物の副作用についてご紹介しました。ご自分の便秘のタイプに合った便秘薬やその飲み方を選ぶためにも、事前に注意点を知っておくことは大切です。
また、環境の変化や食べたもの、状況などによっても便秘の状態や腸内の状態は変化します。
自分の身体の変化をよく観察して、できる限り自然な食べ物や飲み物、生活習慣で見つけていくことが大切です。
便秘を解消して心地よく毎日が過ごせるように便秘に関する正しい知識と自分に合った無理のない生活を身につけましょう。