糖尿病の治療法と漢方薬
糖尿病薬の種類
SU剤
糖尿病治療で最も多く使われている薬で、膵臓からインスリンを分泌させる薬です。
糖尿病は悪い経過をたどって発症しますが、糖尿病と診断される頃には普通数年から十数年経過しており、この間に多<のβ細胞が壊れてしまっているケースがほとんどです。SU剤は膵臓からインスリンを無理やり出させるので、膵臓はやがて疲れきってインスリンを分泌できなくなってしまうことがあります(β細胞のアポトーシス)。また、心臓障害のリスクも有ると言われているので、服用は基本的に少量をおすすめします。
α-GI剤
消化管からの糖の吸収を抑える薬です。私たちが食べたご飯や芋などの糖質は体内の消化酵素によって分解されてオリゴ糖になり、最後はブドウ糖になって腸から吸収されます。軽い糖尿病に使われるのは、炭水化物を分解するα-グルコシダーゼという酵素の阻害剤で、ベイスン、グルコバイなどがあります。
DPP-4阻害剤
食事をとると小腸から血糖値を下げるホルモン(インクレチン)が分泌されますが、このインクレチンはDPP-4という酵素によってすぐに分解されてしまいます。これを阻止する薬です。
生活習慣と糖尿病
現代人の約9割の人が生活習慣からくる糖尿病だと言われています。糖尿病の原因(リンク)にもあるように、生活習慣と糖尿病は深い関係があります。 糖尿病の原因になるような生活習慣を改善することで、糖尿病の改善・予防に取り組みましょう。
適度な運動
定期的に歩くなどの軽い運動の週間をつける。 食後に体を動かすようにする。
食生活
夜に脂質の多いものを食べない。 一度に食べ過ぎないことで急激な血糖値の上昇を防ぐ。 脂質を取り過ぎない。 炭水化物を取り過ぎない。
アルコール
アルコールを摂取する頻度、量を減らす。
生活リズム
夜更かしや昼夜逆転生活に気をつけ、なるべく決まった時間に寝て起きる。
ストレス
趣味やスポーツなどの時間を積極的にとって、リラックスした状態を保つ。
漢方と糖尿病
症状に対する効能ごとに漢方をご紹介します。
八味地黄丸(はちみじおうがん)
冷え、倦怠感、頻尿、特に夜間の頻尿を改善する。
牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
しびれ、冷え、むくみ、尿量減少を改善する。
白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)
口の渇きや手足のほてりを緩和する。
桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)
冷え性で体力がない人で、手足の痛みやしびれを訴えるときに用いる。
疎経活血湯(そけいかっけつとう)
血行を良くし、体内の水分循環を良くする。関節痛、神経痛、腰痛を緩和する。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
便秘傾向を改善する。
大柴胡湯(だいさいことう)
便秘やかゆみを伴う場合。
清心蓮子飲(せいしんれんしいん)
口の渇きや手足のほてりを改善する。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
便秘やしびれを改善する。
糖尿病は典型的な生活習慣病なので、薬での根本解決は難しいと言われています。漢方はあくまで現在出ている症状を緩和するためのものであって、最も大切なのは食事と運動、つまり生活習慣を見直すことです。
漢方が糖尿病に有効なのは、中医学に基づきあなたの身体の状態を判断し、最適な食事や生活習慣をご提案できるところにあると思います。