便秘薬と副作用

便秘薬の種類

「便秘薬」と呼ばれるものの中には大きく分けて2種類の排便促進方法があります。 一つは、腸を直接刺激し、排便を促す「刺激性下剤」。 もう一つは、便自体の水分量を増やすことで排便を促す「機械性下剤」です。

刺激性下剤

【特徴】

市販の便秘薬で最も多く使われているもので、大腸の粘膜を刺激することで蠕動(ぜんどう)運動という排便に必要な運動を起こさせる。 効果が現れるまで数時間。

【主な成分】

ビザコジル/センナ/ダイオウ/ピコスルファート/ラキソナリンなど

機械性下剤

【特徴】

便に水分を含ませることで便を柔らかくして排便を促す。 効果が現れるまで時間がかかる。

機械性下剤はさらに下記の3種類に分けることが出来ます。

膨張性下剤

ダイエットのしすぎなどの原因で便の量が少なく、腸に刺激を与えることが出来ない状態の方に向いている下剤です。

【主な成分】

プランタゴオバタ/カルボキシメチルセルロース

塩類下剤

塩類の特性である浸透圧を利用したお薬です。便の水分が腸に吸収されるのを抑えることで、便が柔らかくなって排泄しやすくなります。

【主な成分】

酸化マグネシウム/硫酸マグネシウム/炭酸マグネシウムなど

浸潤性下剤

便の表面張力を小さくするお薬で、いわゆる界面活性剤と同じ成分です。便の表面張力が小さくなると便の中に水分が浸透しやすくなって、便が柔らかくなり、排便しやすくなります。

【主な成分】

ジオクチルソジウムスルホサクシネート

便秘に効く漢方薬

・防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
・大黄牡丹皮湯(だいおうぼたんぴとう)
・潤腸湯(じゅんちょうとう)
・桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう)
・三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう) ・麻子仁丸(ましにんがん)
・大承気湯(だいじょうきとう)
・通導散(つうどうさん)
・桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
・調胃承気湯(ちょういじょうきとう)
・大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう)

漢方薬だから安心?

漢方薬は生薬で構成されており、自然の素材で作られているので安心と思っている人は、結構多いものです。 便秘症に有効とされている漢方製剤の内、健康保険で認められているものは11種類あり、そのいずれにも大黄(アントラキノン系下剤)が含有されています。

大黄(アントラキノン系下剤)は先程紹介した刺激性下剤に含まれる成分で、長期にわたり連用すると大腸メラノーシスという状態が引き起こるので注意が必要です。

大腸メラノーシスとは、刺激性下剤によく含まれている大黄(アントラキノン系下剤)を長期間にわたって使用し続けると起こる腸の状態のことです。大腸メラノーシスになると、腸が黒ずみ、超全体の働きが悪くなり、便秘症が悪化してしまいます。

漢方薬は自然のものだからといって、飲み方や使用期間の長さによって必ず安心とは言い切れません。

便秘薬の副作用

自然な便通は食べた物で便のもとを作り、腸の働きに脳と自律神経が連携して、便意になります。 便秘薬を使用して便を出す方法は本来の便意ではなく、これは『しぶり腹』という、おなかが刺激されたためにしぶって出る現象です。出さえすればいいと便秘薬を使っている内に、本来の排便力が必要なくなり、衰えていきます。

一般的な便秘薬のほとんどは、センナや大黄、アロエなどのアントラキノン系の下剤で、即効性はあるものの、常用して半年~一年以上になると大腸にメラノーシスという色素沈着が起こります。

その結果、腸内神経叢への障害を起こして大腸の蠕動運動が低下し、更に便意が消失してしまいますし、同時に腹痛が起こることもあります。 そうして下剤に頼り、服用量も増え、下剤依存症に陥ってしまうのです。

 

 

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