抗がん剤と副作用
抗がん剤の種類
殺細胞薬
多くはがん細胞の細胞分裂(DNA代謝)に働き、一部は紡錘糸※に働くことで殺細胞効果を発揮
※染色体を分裂させる機能を持つ繊維
DNA代謝に働く
アルキル化薬、白金製剤(プラチナ化学物)、抗腫瘍性抗生物質、代謝拮抗薬、トポイソメラーゼ阻害薬
紡錘糸に働く
植物由来物質
分子標的治療薬
がん細胞の増殖・浸潤あるいは転移に関する分子(因子)を標的に開発された薬剤です。 殺細胞薬と違い、正常な細胞に与えるダメージが少ないので、現在は抗癌剤の主流です。
ホルモン類似薬
ホルモン依存性腫瘍(乳がん、前立腺がんおよび子宮体がん)は増殖がホルモンに依存しているため、ホルモンをブロックする薬剤などを使用
生物学的応答調整薬(免疫治療)
腎臓がんに対するインターフェロンやインターロイキン2は広義での免疫治療法
抗がん剤の副作用について
副作用の種類
まず抗癌剤による副作用の代表的なものとしては、以下のような副作用があげられます。
・吐き気食欲不振体重減少脱毛
・粘膜(囗から消化器官)潰瘍骨髄抑制(白血球減少)
・脱力感神経障害
これら以外に注意が必要なものとして、心不全や肝機能淳害、腎機能障害などがあり、さらに1%以下の確率で起こるまれなものも含めると、抗癌剤の副作用は100種類以上にもなります。
上記の副作用のうち、吐き気、食欲不振、体重減少、脱毛については生死にかかわるものではありませんが、患者には大変につらいものです。
反対に、骨髄抑制は命にかかわるきわめて重大な副作用ですが、患者ば死の直前まで骨髄抑制をつらい副作用とは感レません。その意味では骨髄抑制などはかえって嘔吐などの副作雨上りも恐ろしい副作用と言えます。
2種類の副作用
①非常につらいが、命に別状はない
嘔吐、食欲不振、脱毛、倦怠感など
②つらくはないが、命にかかかる
骨髄抑制、肝機能障害など
※ 副作用が強いことが効果の高いことではないので、どんな変化もドクター・看護師に報告するよう心掛けてください。
副作用対処の基本
たとえ世界で何百万人に使われている抗癌剤でも、患者によってどんな 副作用が起こるかはまったく予断を許しません。したがって、その患者に とって初めての抗癌剤を投与する場合、何か起こるかわからないことを前提に、極力慎重でなければなりません。
極端な言い方をすれば、「他人のデータはあてにならない」という慎重な心がけが必要ですが、しかしその一方で、あまりに慎重すぎて「橋を渡らない」、では癌の治療はまったくできません。
では、慎重に「石橋を叩いて渡る」にはどうすればよいのでしょうか。たとえば、新薬が一般に発売される際には、第I相試験から第IV相試験まで段階的な試験がおこなわれています。
第I相試験は動物実験のあとにおこなわれるもので、ボランティアの人に対してごく少量の薬量から投与を始めて、だんだん量を増やしていき、からだにどんな変化があらわれるかをチェックしていく試験です。
第I相試験の目的は、どのくらいの薬量でどのような副作用がどのような頻度で出るのかを調べるということです。 次の段階で何百人かの人に試してみて、どのくらいの割合で効くかを調べるのが第II相試験です。
そうやって慎重に試験を繰り返して抗癌剤はようやく市場に出るのですが、抗癌剤の使用にあたっては、患者ひとりひとりに対して、改めて第I相試験から始めるくらいの慎重さがあるといいですね。