「証」とは

漢方でよく聞く「証(しょう)」とは、その人の体質や体力、抵抗力などをいくつかの基準から判断し、その個人差を指したものです。

漢方薬を選ぶ上で最も大切なのは、それを使う人の証にぴったりなものを選ぶということ。

病気は同じであっても証によって異なる漢方薬を処方される場合もあるくらいです。

自分の”証”を知るためにはどうすればよいのか、その具体的な基準をご紹介します。

 

陰陽・虚実 について

陰陽 – 基本の体質 –

まずは陰陽。陰陽というのは、証を決める際の基本の体質となる2つのタイプ、陰証タイプと陽証タイプの内、そのどちらに属するのかを判断する基準です。

<陰証タイプ>

・寒がり
・低血圧
・下痢になりやすい
・必要な熱の低下、活動の低下

他にも、発汗しにくい、脈が遅い、低体温など、比較的代謝が活発ではないのがこのタイプの特徴です。

陰証の人では、虚証・寒証などの症候が見られ、不足しているものを補う治療が基本となります。

<陽証タイプ>

・暑がり
・高血圧
・便秘になりやすい
・興奮状態 他にも、多汗、脈が速い、高体温など、比較的代謝が活発であるのがこのタイプの特徴。

陽証の人では、実証・熱証などの症候が見られ、過剰な陽を抑える治療が基本となります。

ここで大切なのが、理想は、陽証タイプと陰証タイプのどちらでもなく、バランスの取れた中庸(多くもなく少なくもなく最も丁度という意味)であるということ。

また、陽証タイプと陰証タイプのどちらにも特徴が当てはまる混合タイプというものもあります。

虚実 – 体力や抵抗力 –

虚実とは、虚証と実証の2タイプに分かれ、個人の体力や抵抗力を判断する証の基準です。

<虚証タイプ>

・虚弱、疲れやすい
・精神的に消極的
・汗をかきやすい
・顔が青白い
・軟便、下痢になりやすい
・乾燥肌
・病気の進行はゆっくり
・痩せ型(もしくは水太り)

体調が悪い時、身体機能が元々弱いことに原因があることが多いのがこのタイプの特徴です。虚証の人は胃腸が弱いことが多いので、冷たいものを口にする機会を減らし、食事は消化のよいものを選ぶのがよいでしょう。

実証タイプと比べて疲れやすいので、無理せず自分のタイミングで休むなどが効果的な養生です。

<実証タイプ>

・疲れにくい
・精神的に積極的
・汗をかきにくい
・血色が良い
・便秘気味
・息が荒い
・病気の進行が早い
・筋肉質

体調が悪い時、有機物や生活習慣に原因があることが多いのがこのタイプの特徴。

実証の人は疲れや体調不良を感じにくいので、お酒の過剰摂取や睡眠不足になりがちです。「自分はタフだから大丈夫」と高を括らず、常に自分の体調と向き合うことが効果的な養生です。

ここでも大切なのは、理想は、虚証タイプと実証タイプのどちらのタイプでもなく、バランスの取れた中間証というタイプ(中庸の状態)であるということです。

虚実でも同じく、混合タイプは存在します。 一見、実証タイプの人の方が健康的に見えますが、疲れを感じにくく、症状が出た時には突然病気が進行しやすいという特徴もあるので、虚証・実証のどちらも体調には気をつける必要があります。

また、陰陽も虚証も一生涯同じタイプであるとは限らないので、自身の体質や精神状態、生活習慣のことをこまめにチェックし、その時の状態に合わせて体調を整えていくことが最も重要です。

 

 

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